目次

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第36回

2020年9月11日更新

魂のエクスタシー 〜ルドン、『目を閉じて』〜

 コロナで美術館に行けなかった数カ月の間、この騒ぎが収まったら、どの絵画作品を見たいかと考えた。パリのルーブルを始め、ウィーンの美術史美術館…

第36回

2020年9月11日更新

ルドンの「故郷」を訪ねて 〜ボルドー、そして岐阜〜

 その地を訪ねたのは、既に20年ほど前になる。パリのモンパルナス駅からTGVの特急列車で約2時間、ボルドー・サン・ジャン駅で下車し…

35

第35回

2020年7月2日更新

白夜に舞う狂おしさ 〜ムンク『生命のダンス』〜

 世界の大都市が抜け殻のような外観に変わった。ロックダウンはSF小説もどきの白昼夢を現出させ、日常や常識の尺度をかしがせた…

第35回

2020年7月2日更新

ムンクの「べろ(舌)」さがし

 もう20年あまり前のことにはなるが、3月から6月にかけて、長く北欧諸国に滞在したことがある。3回に分けて、都合45日くらいは…

34

第34回

2020年5月20日更新

北の至宝。静寂の詩人、ハマスホイ

 20年ほど前――、衛星放送でスカンジナヴィアの特集を担当したことがある。1週間、様々な番組で北の風土や文化を紹介した。アンデルセン…

第34回

2020年5月20日更新

ハマスホイ。静寂の奥にひそむ濃密な気配

 例えば、お初、徳兵衛といった、文楽人形の男女の頭が左右に並ぶような2人である。
 『画家と妻の肖像、パリ』(1892)…

33

第33回

2020年4月23日更新

大地に込めた再生の祈り ミレー『春』

 秋から冬にかけて、立て続けに川端康成の小説を読んだ。その過程で、素晴らしい1枚の絵に出会った。ジャン・フランソワ・ミレーの『春』…

第33回

2020年4月23日更新

虹いくたび ~虹を描いた画家たち~

 子供に自由に絵を描かせると、空に真っ赤な太陽を添えることがしばしばある。「御日様」という言葉があるくらいなので、子供心に、陽射しに満ちた昼の空には…

32

第32回

2020年4月23日更新

鏡が映し出す都市の縮図 マネ、『フォリー=ベルジュールのバー』

 「鏡よ鏡、鏡さん、世界で一番美しいのは誰?」――。
幼い頃から馴染んだこの有名なセリフは、グリム童話『白雪姫』の中で…

第32回

2020年4月23日更新

マネと音楽 ~格差と階層を超えて~

 社会派の画家であったマネは、ずいぶん貧しい人たちを描いたが、彼自身は上流家庭の人だった。その家には、常に音楽が溢れていた。夫人がピアノをよくし…

31

第31回

2019年11月29日更新

物たちは主張する 〜濃密な変奏曲。セザンヌの静物画〜

 恥ずかしい告白から始めよう。私にはその人の描くその手の絵が、ひどく苦手だった。
長い間、よさがわからなかった…

第31回

2019年11月29日更新

愛の絆か、復讐の無言劇か?セザンヌ夫人の肖像

 イギリスに10年暮らしながら、ロンドン大学に付随するコートールド美術館には行きそびれてしまった。改築工事で休館中であるのを機に…

30

第30回

2019年9月21日更新

史上最強(!)の猫絵が結ぶ 少女とルノワール、運命の絆

 知り合いの猫好きたちに尋ねてみた。「世界の名画で、最も可愛い猫絵は何でしょう?」――。各人各様かと思いきや、多くの場合、答えはほぼ1点に絞りこまれた…

第30回

2019年9月21日更新

ルノワール、猫から見る多面体の面影

 ルノワールと猫を語る時、若い頃に描いたこの絵は外せないだろう。『猫と少年』…

29

第29回

2019年9月21日更新

ボナール、愛の私小説 〜反復され聖化される記憶〜

 その名もずばり、タイトルは『男と女』である。クロード・ルルーシュに同名の映画があったが、甘美な愛のロマンティシズムに比べれば、この絵はかなりほろ苦い。ポスト印象派の画家、ピエール・ボナール…

第29回

2019年9月21日更新

アンティミストのボナール、体験から記憶、そして絵画へ ~愛の私小説の熟し方~

 「視神経の冒険」――画家ピエール・ボナール(1867~1947)を語るのに、しばしばその形容が用いられる。…

28

第28回

2019年9月21日更新

時空を超えた心の巣。コローの描く森

 その人の絵を目当てに、美術館を訪ねたことがない。それでいながら、世界のどの美術館を訪ねようと、気がつけば、その人の絵を探している。そこに行けばフェルメールがあるとか、ダ・ヴィンチに…

第28回

2019年9月21日更新

秘めたるエロス。風景画家コローの描いた女性像

 コローの森の絵になじんで以降、しばらくの間、私にとってこの画家は自然と風景を専門とする芸術家だった。ちょうどイギリスのコンスタブルのように、田園に徹した風景画家だと思い込んでいた…

27

第27回

2019年9月21日更新

日本を愛し、日本との戦争で死んだ男 戦争画家・ヴェレシチャーギン

 初めてこの絵を見た時、ベトナム戦争に反対するアーティストの作品ではないかと感じた。だがその後、頭蓋骨の積まれた山の背景が熱帯雨林のジャングルでなく、砂漠のような乾燥した…

第27回

22019年9月21日更新

バーチャル美術館 ヴァシリー・ヴェレシチャーギン回顧展

 某年某月、東京の美術館で話題の展覧会が開かれる。東京での展覧会終了後は、札幌や大阪など、地方都市でも巡回展が予定されている。展覧会の案内やチラシには、代表作の、頭蓋骨が山と積まれた…

26

第26回

2019年9月21日更新

猫がつなぐオンとオフ 広重『名所江戸百景 浅草田甫酉町詣』

 絵画芸術は枠の中の平面を基本とする。四辺に囲まれた画布が世界の限りとなる。だがすぐれた絵は、時にこの四辺の枠を飛び越える。描かれた情報は枠内に収められるが、絵に込められた思いは…

第26回

2019年9月21日更新

オン・アンド・オン 国芳、尽くし絵の意気

 歌川広重のオフの巧みさについては述べた。
 時代は1世紀近く遡るが、鈴木春信の絵も、秀逸なオフの美学を抱えていた…

25

第25回

2019年1月5日更新

ジャック=ルイ・ダヴィッド ナポレオンを描いた画家の栄光と無残

 美術に関心のない人でも、この絵は目にした記憶があることだろう。前足をあげ峻険な山道に挑みかかる白馬に颯爽と跨り、力強く号令を発する若き…

第25回

2019年1月5日更新

ボナパルト、ああボナパルト、ボナパルト!ナポレオンを描いた画家たち、それぞれの運命

 「余の辞書に不可能という文字はない」――。あまりにも有名なこの言葉を、実際には言ったとか言わなかったとか、ともかくも…

24

第24回

2018年10月23日更新

廃墟の画家、ユベール・ロベール 古代と革命、ギロチンを免れた男の2つの時間

 アテネのパンテオンを始めとする、ギリシャの古代遺跡をまわったことがある。2千年を超す時を経たいにしえの神殿が、抜けるような青空のもと白々と…

第24回

2018年10月23日更新

マリー・アントワネットを描いた女流画家、ヴィジェ=ルブラン 運命の旅路

 「廃墟の画家」として知られ、あわやギロチンにかけられるところだったユベール・ロベール。その人の面影を伝える最も有名な肖像画は…

23

第23回

2018年9月3日更新

アガペーとエロスの間に ティツィアーノ「悔悛するマグダラのマリア」

 旧約から新約まで、聖書は基本的には男性原理に貫かれている。しかし人間界が男女ふたつの性から成り立つ以上、何らかの形で女性の物語も付随せざるを…

第23回

2018年9月3日更新

聖母マリアの乳房を探せ!

 聖書が伝える聖母マリアは、処女のまま懐胎し、イエスを産んだとされる。 主を産み育てた、聖なる母である。ひとりの女性を超越している。女であることを…

22

第22回

2018年6月15日更新

レンブラント「ベルシャザールの饗宴」一宗教を超えた人間の真実

 日本に桜の花が咲く頃、ヨーロッパにはイースター(復活祭)が訪れる。磔刑に処せられたイエス・キリストが、死後3日目に復活した…

第22回

2018年6月15日更新

旧約聖書が炙り出す画家レンブラント

 北のヴェニスとも呼ばれるロシア、サンクト・ペテルブルクのエルミタージュ美術館を初めて訪ねたのは、まだソビエト時代のことであった。ロマノフ王朝の栄華を伝える膨大な…

21

第21回

2018年6月15日更新

ヤン・ブリューゲル、花瓶の中の「世界」

 オランダ、フランドル地域に、おそろしくリアリズムの研ぎ澄まされた静物画が盛んに描かれた時代があった。自然界の生き物、動植物を生々しくも鮮やかに描き出す細密画風の絵画群が出現した…

第21回

2019年9月20日更新

ザ・慶賀 後の巻  『フローラ・ヤポニカ』を超えて

 バタビアを発ったオランダ船は、毎年夏に長崎に入り、秋には出港する。その年、1828年の秋も、オランダ船コルネリウス・ハウトマン号は、多くの荷を積み込み、出航の日を待って…

20

第20回

2018年6月15日更新

木下杢太郎(きのしたもくたろう) 「百花譜」、終末の中の生いのち命の輝き

 彼は多才な人だった。医学者であり、劇作家、翻訳家、美術史家、詩人でもあった。かつ絵をよくした。彼はまた多忙な人だった。大学病院での勤務はもとより…

第20回

2019年9月20日更新

ザ・慶賀 前の巻 長崎から世界

 江戸時代の日本に、世界に通じたボタニカル・アーティストがいた。その人の手になる植物画は、ヨーロッパに今も1500点近くが…

19

第19回

2018年1月2日更新

猫に生き、猫を愛し、猫を描(か)いた 究極の猫画家、ルイス・ウェイン

 この人には、世話になったことがある。猫の挿絵で知られたルイス・ウェイン(1869~1939)。2016年に出した『漱石とホームズのロンドン』という本の中で…

第19回

2018年1月2日更新

東アジアのキャッツ・ワールド

 ルイス・ウェインによる猫の擬人画が、19世紀末から20世紀の初めにかけて、イギリスを中心に、たいそうな人気を博したことは述べた。7匹もの猫を飼い、「猫姫様」の異名をとる…

18

第18回

2017年9月17日更新

響き合う異魂。「猫画家」フジタ

 海外、とりわけヨーロッパに暮らす日本人にとって、フジタは(藤田嗣治)特別な存在である。私自身、10年に及んだイギリス暮しの折々に…

第18回

2017年9月17日更新

泰西名画に猫を探せ!

 フジタが押しも押されもしない世界の「猫画家」であることは、先に述べた。近代の西洋絵画を見回すと、ルノワールを筆頭に、猫を愛し、画面に登場させた画家はそれなりに…

17

第17回

2017年8月22日更新

時よとまれ!永遠の少女の輝き ~ベラスケスが描くマルガリータ王女~

 世界の十大傑作絵画というくくりがあるなら、この絵は必ず選ばれるであろう。17世紀、スペイン絵画の黄金期を牽引したベラスケスの…

第17回

2017年8月22日更新

少女と画家。時のパズルを超えて。

 古今東西、少女の絵を手がけた画家は少なくない。絵描きは少女に魅せられ、絵を通して私たちは少女に魅せられてきた。ベラスケスが描いた王女マルガリータは、その…

16

第16回

2017年6月21日更新

聖なる生命力 クールベの描いた樫の木

 堂々たる木だ。樹齢数十年にはなるだろう。大地から聳え立つ太い幹は途中いくつもに分かれ、それぞれにまた幹をなし、そこからいくつもの

第16回

2017年6月21日更新

木を描く画家たち

 艶麗、夢幻の女性美を薫り高く描いたウィーン世紀末の巨匠、グスタフ・クリムト。めくるめく裸身が画面いっぱいにひろがる官能の陶酔が身上かと思いきや…

15

第15回

2017年5月2日更新

芸術の魔力 クリムトの描いた幻のシューベルト

 ウィーンは歴史に熟れた町だ。時間の堆積に発酵した美が、残照のように光り輝く。モーツァルトやベートーヴェンが生きた、永遠の音楽の都でもあることはもとより

第15回

2017年5月2日更新

ウィーン世紀末、音楽と美術とのマリアージュ

 黄金色に輝くネギ坊主のような球形の装飾を頂いたセセッシオン(分離派館)――。そのオリエント風なたたずまいは、バロック建築の教会が建ち並ぶ…

14

第14回

2017年3月29日更新

永遠なる幸福の瞬間(とき) ルノワール「ピアノを弾く少女たち」

 壁を越えるものに惹かれる。絵画と音楽が交差する作品とあれば、おのずと注目が高まる。例えば、大のお気に入りのフェルメールのなかでも、ヴァージナル

第14回

2017年3月29日更新

ピアノのある風景

 ルノワールの「ピアノを弾く少女たち」が、市民階級の経済的台頭によって一般家庭にピアノが導入された社会潮流を背景としている点は既に述べた…

13

第13回

2017年1月6日更新

権力と愛欲の渦中に 英国テュ―ダー朝の宮廷画家、ホルバイン

 生まれ育ったのはドイツのアウグスブルク、画業を生業(なりわい)に暮らし始めたのがスイスのバーゼル、そして画家として決定的な活躍の場となった所がイギリスの

第13回

2017年1月6日更新

ホルバインとThe Tudors ~肖像画家を鍛えた宮廷の「主役たち」~

 ヘンリー8世の宮廷画家となったホルバインが、偉丈夫の体躯堂々とした王の全身像を描いたのは、王が3番目の妻となるジェーン・シーモアと結婚した1536年か、翌年であろうと言われている。そして…

12

第12回

2016年11月05日更新

「後宮」絵画の謎。「ガブリエル・デストレとその妹」(フォンテーヌブロー派)

 美しい絵はいくらもあろう。だが、この絵のごとく、喉奥に刺さってとれぬ魚の小骨のように後々まで心に引っかかる絵は、そうあるものではない。寓意に満ちていることはわかる。だが容易には

第12回

2016年11月05日更新

後宮の奥深くに ~フォンテーヌブロー派の匿名性~

 王の御前で、絢爛たる騎士道の試合が行われようとしていた。観衆の喝采を浴びて、銀色に輝く甲冑に身を包んだ馬上の騎士が登場する。とりわけ人々の耳目を集めたのは…

11

第11回

2016年8月11日更新

戻って行く世界。レンブラントの自画像

 その人が暮らし活躍した町、アムステルダムはもとより、ロンドンやパリで、またベルリンやウィーン、ひいては日本の熱海市においてさえ、その筆になると言われるその人自身の姿に…

第11回

2016年8月11日更新

自画像という多面鏡

 自画像という絵画ジャンルは、他人の肖像を描くよりも、よほど後になって生まれた。しかるべき質の鏡が開発される前には、おのれの姿をまじまじと見つめることは…

10

第10回

2016年6月28日更新

「聖母被昇天」ヴェネツィアの至宝、ティツィアーノ

 人のすれ違うのがやっとという、狭い路地を進んだ。両側に聳え立つ壁に、靴音が響く。壁の向こう、建物の内部には何があるのか、いにしえの宮殿か商館か修道院か…

第10回

2016年6月28日更新

聖母像に想う ~もうひとつの愛の美神たち~

 地中海沿いのリゾート地、コスタ・デル・ソルからほど近いスペインのマラガ。ピカソの生まれ故郷としても知られるこの町で…

9

第9回

2016年4月14日更新

クラナッハ。貧乳のヴィーナスが放つ至高のエロス

 人間復興を奉じてイタリアにルネサンスが発祥して以来、多くの裸身の女性たちがキャンバスに登場することになったが、中世絵画における宗教の重しからの解放感か…

第9回

2016年5月11日更新

ヴィーナスの揺曳 ~クラナッハの「眠れる美女」たち~

 私の想いはなおもクラナッハに留まり、ヴィーナス像の不思議な美のたゆたいの中に揺れている。何故このような個性的な裸婦像が次々と…

8

第8回

2016年1月26日更新

あなにやし! 愛のイコン、春画

 会場にいた2時間半ほどの間に、一体いくつのその姿、その場面を目にしたことだろう。睦み合い、絡み合う男女、そのものずばりの…

第8回

2016年1月31日更新

裸婦に思う。「借り着」を剥いだその下に

 ヨーロッパの美術館に行くと、繰り返し現れ、否応なく目を惹くことになるのが(とりわけ筆者のような男の場合!)、裸婦像である。いわゆる…

7

第7回

2015年12月12日更新

シャガール、喪失者の夢想

 「月日は百代の過客にして」とは『奥の細道』の書き出しであったが、なるほど生きるということ、日々齢を重ねるということは、現在を…

第7回

2015年12月12日更新

微笑みの鏡。シャガールと音楽、劇場

 ルーブルは語るにしかず、オルセーもよい、ポンピドーも面白い。しかし、パリの美術スポットを訪ねるなら、是非ともここにも足を運びたい。ガルニエ宮としても知られる…

6

第6回

2015年10月6日更新

炎の画家・ゴッホが仰いだ星空

 彼の描く絵は、いつもぎらぎらしている。風景であれ、ヒマワリの花のような静物であれ、自身を含む肖像であれ、きまってその絵はぎらぎらと…

第6回

2015年10月6日更新

魂のユートピア。ゴッホが夢見た「日本」

 パリを発った汽車は、一路南を目指した。1888年2月下旬――、目的地のアルルが近づくにつれ、車窓の景色を追っていた男の顔に…

5

第5回

2015年9月8日更新

マグリットは「禅」である!

 30年近くも前になるが、「日曜美術館」(NHK)の制作班にいたことがある。若手ディレクターとして最初に登板し採りあげたのが、ベルギーの…

第5回

2015年9月8日更新

「禅」で読み解くマグリットの謎

 部屋の壁に穿たれた格子窓がある。今、窓外を牛が通る。頭が、角が、四肢が格子窓を過ぎて行く。だが、最後に続くべき尾だけが、いつまでたっても…

4

第4回

2015年5月9日更新

一木一草の輝き ~ボタニカル・アートの「命」~

 「ああ、イギリスだ」……。会場に足を踏み入れるなり、胸の焼けるような郷愁を覚えた。ひとしきり続いた火照りが退くと、今度は穏やかな心地よさが胸を浸した。これもまた、イギリスを…

第4回

2015年5月9日更新

川原慶賀、世界が認めた日本のボタニカル・アート

 キューガーデン(王立植物園)のあるロンドンは、種苗や標本、植物画にいたるまで、世界の緑の集積地であった。そしてもうひとつ、ロンドンと並んで、海の彼方から緑が集められた…

3

第3回

2015年3月31日更新

ブリューゲルとの邂逅。そのたじろがぬ視座。

 小学校6年生の時のことだったと記憶する。小遣い銭を溜め、初めてLPレコードを買った。ベートーヴェン作曲、交響曲第6番「田園」―。アンドレ・クリュイタンスが…

第3回

2015年3月31日更新

ブリューゲルとタルコフスキー。こだまする魂

 ウィーンの美術史美術館のブリューゲルの部屋に足を踏み入れた者なら、誰しもが一連の作品群から発せられる独特の気に息を呑み、豊饒にして濃厚な世界を前に、必ずや…

2

第2回

2015年1月11日更新

挿絵の魅力。不滅の物語に不滅のアート

 イギリスに暮した頃、よく古典物のペーパーバック(文庫本)を買った。「積ん読」になってしまったものも多いが、それなりに数をそろえてみると…

第2回

2015年1月11日更新

漱石の『猫』が開いた物語とアートの新時代

 秋の日の午後、東京駒場の日本近代文学館で幸福なひと時をすごした。熟れ行く季節の穏やかな陽射しが射し込む閲覧室に座をしめた私の前には…

1

第1回

2014年12月2日更新

ロンドンでフェルメールを独り占め

 巨大な円柱が並ぶファサードから中に入ると、私の足は決まってある場所へと向かった。ロンドン、ナショナル・ギャラリーは…

第1回

2014年12月2日更新

フェルメールと春信、瞬間に込められたふくよかな物語

 私の心は、なおもロンドンのナショナル・ギャラリーのフェルメールの部屋に留まっている。「ヴァージナルの前に立つ女」と…